販売管理は、企業の売上や在庫、顧客情報を適切に管理し、経営の効率化を図る上で欠かせない業務です。
エクセルなら手軽に販売管理表を作成でき、コストを抑えながら業務を進められます。しかし、関数やマクロを駆使しなければ効率的な運用が難しく、データ量が増えると処理速度が低下するなどの課題も少なくありません。
そこで今回は、エクセルを使った販売管理表の作成方法や、メリット・デメリットを解説します。販売管理の方法を見直し、よりスムーズな業務運用を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 販売管理とは?
- エクセルを使った販売管理に必要となる3つの管理表
- 【4STEP】エクセルを使った販売管理表の作成方法
- エクセルを使って販売管理を行うメリット
- エクセルを使って販売管理を行う際の注意点
- 業務効率化を図るなら販売管理システムの導入がおすすめ!
2-1.売上管理表
2-2.在庫管理表
2-3.顧客管理表
3-1.STEP1:マスタデータの作成
3-2.STEP2:レイアウトの作成
3-3.STEP3:データの入力
3-4.STEP4:関数の設定
4-1.費用をかけず気軽に導入できる
4-2.無料テンプレートの活用ですぐに導入できる
5-1.複雑な機能の実装には高度な知識が必要となる
5-2.共同編集やリアルタイム共有ができない
5-3.データが膨大な量になると処理速度が落ちる
まとめ
- 販売管理とは?
- エクセルを使った販売管理に必要となる3つの管理表
- 受注番号
- 顧客番号
- 取引日
- 取引先企業
- 商品コード
- 商材名
- 単価
- 原価
- 販売個数
- 受注金額
- 出荷先
- 商品コード
- 商品名
- 仕入先情報
- 仕入れ単価
- 入庫日
- 出庫日
- 入庫数
- 出庫数
- 在庫数
- 保管場所
- 在庫管理期間
- 賞味期限(使用期限)
- 顧客番号
- 企業名
- 住所
- 連絡先
- 購買履歴
- 担当者名・部署
- 【4STEP】エクセルを使った販売管理表の作成方法
- 列幅や行の高さを調整し、見出しを強調する
- 入力欄の色分けや罫線の設定で、データを視認しやすくする
- 重要な項目(取引日・売上金額など)を固定表示し、スクロール時に見失わないようにする
- エクセルを使って販売管理を行うメリット
- エクセルを使って販売管理を行う際の注意点
- 業務効率化を図るなら販売管理システムの導入がおすすめ!

販売管理とは、企業が商品やサービスを販売する際の一連の業務を管理することです。具体的には、受注や仕入れ、在庫管理、売上処理、請求・支払い管理などが該当します。これらの業務を適切に管理することで、取引の円滑化や利益の最大化を図れます。
企業が効率的に販売管理を行うためには、専用のシステムを活用するのが有効です。販売管理システムを導入すれば、受注から納品、売上・請求処理までの流れを一元化でき、業務の負担を軽減できます。
また、リアルタイムでのデータ管理が可能になり、取引の透明性が向上する点もメリットです。特に、複数の部門をまたぐ取引や、厳密な在庫・売上管理が必要な場合には、業務の効率化に大きく貢献するでしょう。

エクセルを活用すれば、販売管理の基本業務を効率化できます。ただし、販売管理システムのような高度な機能を持つ仕組みを構築するのは困難です。プログラミングや関数を駆使すれば一定の自動化は可能ですが、相応の専門知識が求められます。
エクセルを使った販売管理では、最低でも「売上管理表」「在庫管理表」「顧客管理表」の3つを作成しなければなりません。ここからは、それぞれの役割と必要な項目を紹介します。
2-1. 売上管理表
売上管理表は、売上データを記録・分析するための表です。日々の取引情報を整理することで、売上の傾向や利益状況を把握できます。売上実績と目標の比較に活用すれば、予算の調整や業績改善のための施策を立てやすくなります。
売上管理表で一般的に必要な項目は、以下の通りです。
これらの情報を一元管理すれば、売上データのグラフ化や特定期間の売上集計が容易になります。
2-2. 在庫管理表
在庫管理表は、商品の在庫状況を正確に把握するための表です。在庫を適切に管理することで、在庫切れや過剰在庫を防ぎ、無駄なコストを削減できます。
在庫管理表で一般的に必要な項目は、以下の通りです。
定期的に在庫データを更新して売上管理表と連携させることで、販売状況に応じた在庫調整が可能になり、適正在庫を維持しやすくなります。
2-3. 顧客管理表
顧客管理表は、取引先や顧客の情報を管理するための表です。顧客情報を一元化することで、対応履歴を把握し、顧客満足度の向上につなげられます。
顧客管理表で一般的に必要な項目は、以下の通りです。
このデータを活用すれば、リピーターの分析やターゲット顧客の特定が可能になります。マーケティング施策にも役立ち、営業活動の効率化にも貢献するでしょう。

エクセルを活用すれば、販売管理表を簡単に作成できます。効率的に管理するためには、適切な手順で表を構築することが重要です。
ここからは、エクセルを使った販売管理表の作成方法を、4つのステップに沿って分かりやすく解説します。
3-1. STEP1:マスタデータの作成
販売管理表を作成する際は、まずマスタデータを用意します。マスタデータとは、商品情報や顧客情報などの基本データを一元管理するデータベースのことです。たとえば、商品名・単価・在庫数などの商品情報や、企業名・担当者・連絡先などの顧客情報を整理します。
これらを別シートに保存し、販売管理表と連携させることで、各項目に一貫したデータの紐づけが可能です。マスタデータを整備すると、検索やデータの自動入力がスムーズになります。
3-2. STEP2:レイアウトの作成
販売管理表のレイアウトは、情報の整理と可視性を向上させる重要な要素です。シンプルで分かりやすい表であるほど、入力ミスが起きにくく、管理が容易になります。
レイアウト作成時のポイントは、下記の通りです。
適切なレイアウトの設定により、入力作業の負担が軽減され、データの管理をスムーズに行えます。
3-3. STEP3:データの入力
販売管理表のレイアウトが完成したら、実際にデータを入力しましょう。売上管理表には取引日・取引先・商品名・単価・数量などを記録し、在庫管理表には商品の入出庫情報を入力します。顧客管理表では、取引先ごとの詳細情報を整理します。誤入力を防ぐために、ドロップダウンリストを活用すると便利です。
データ入力の際は、統一された形式で記録することが重要です。日付は「YYYY/MM/DD」のように統一し、数値データには適切な桁区切りを設定すると見やすくなります。入力ルールを明確にすることで、管理のしやすさが大幅に向上するでしょう。
3-4. STEP4:関数の設定
関数を活用することで、データの集計や分析を自動化できます。下記は、販売管理表で使用されることの多い関数とその用途です。
SUMIF関数 | 特定の条件に基づいた売上合計を求める |
---|---|
COUNTIF関数 | 指定した条件に該当する取引数を集計する |
VLOOKUP関数 | 商品コードを入力するだけで対応する商品情報を自動取得する |
RANK関数 | 売上ランキングを作成する |
AVERAGE関数 | 売上の平均値を求める |
ピボットテーブル | 売上データを期間別・商品別に集計し、分析する |
関数を適切に設定することで、販売管理の精度と効率が格段に向上します。

販売管理のツールとして、エクセルを採用するメリットはいくつかあります。ここからは、エクセルを使って販売管理を行う代表的な2つのメリットを紹介します。
4-1. 費用をかけず気軽に導入できる
エクセルは多くの企業で既に利用されているオフィスソフトのため、インストールされていれば、新たなシステムを導入する費用がかかりません。
専用の販売管理ツールを導入すると、ライセンス料やサーバー維持費が発生しますが、エクセルなら追加コストなしで運用を開始できます。予算を気にせず、すぐに運用を始められる点は大きな魅力と言えるでしょう。
また、従業員の多くは基本操作に慣れているため、導入後の教育も不要です。
4-2. 無料テンプレートの活用ですぐに導入できる
エクセルは世界中で広く使われているため、販売管理に活用できる無料テンプレートが豊富に公開されています。売上管理表・在庫管理表・顧客管理表など、用途に応じたテンプレートをダウンロードすれば、ゼロから作成する手間を省けます。
また、エクセルの強みはカスタマイズ性の高さです。テンプレートを自社の業務に合わせて調整すれば、必要な機能を持った管理表をすぐに運用できます。

エクセルを活用すれば販売管理を手軽に始められますが、運用する上で注意すべき点もあります。特に、複雑な機能の実装が難しいことや、データ共有・処理速度の問題が代表的です。
スムーズに運用するためにも、以下に紹介するエクセルの注意点を把握しておきましょう。
5-1. 複雑な機能の実装には高度な知識が必要となる
エクセルを使って売上管理表・在庫管理表・顧客管理表を連携させるには、関数やマクロ、VBAなどの専門知識が欠かせません。単純な集計やフィルター機能だけでなく、自社ツールとの連携や自動化を行う場合は、より高度な設定が必要です。
しかし、高度な設定は作業者の負担が増し、誤った操作によるデータの不整合や計算ミスが発生しやすくなります。結果として、エクセルの運用が特定の担当者に依存し、属人化してしまう恐れもあります。
業務を効率化するどころか、かえって非効率になってしまう可能性もあるため、すべてのケースで現実的かつ有効な選択になるとは言えないでしょう。
5-2. 共同編集やリアルタイム共有ができない
ローカル環境で使用するエクセルの販売管理表は、複数人で同時に編集することができません。1人がファイルを開いている間はほかの担当者が編集できず、データ更新の遅れが発生します。
そのため、複数人が販売データを入力・管理する場合、情報共有がスムーズに進まない可能性があります。特に、異なる部署間でデータを管理する場合、ファイルのやり取りやバージョン管理が煩雑になり、ミスが発生するリスクが高まります。
5-3. データが膨大な量になると処理速度が落ちる
エクセルは大量のデータを扱うと動作が重くなり、処理速度が低下するのが欠点です。
特に、売上・在庫・顧客情報を統合管理する販売管理表は、ファイルサイズが膨大になる傾向があります。そのため、取引データが増えるにつれてファイルサイズが大きくなり、開くのに時間がかかるケースが少なくありません。
また、複雑な関数やマクロを多用すると計算処理に負荷がかかり、操作時の遅延やフリーズのリスクも高まります。データが増えるほどファイルの破損や保存時のエラーが発生しやすくなるため、バックアップ管理も必須です。

エクセルを活用した販売管理表は、低コストで導入できる点が魅力です。しかし、業務の効率化という観点では課題も多く、データの手入力によるミスや作業の属人化が発生しやすくなります。また、共同編集ができず情報共有に時間がかかる上、データ量に比例して処理速度が低下するため、結果的に業務の負担が増えかねません。
販売管理を効率化し、正確なデータ管理を実現するなら、専用の販売管理システムの導入がおすすめです。販売管理システムを活用すれば、受注から納品・売上・請求処理を一元管理できますので、販売管理に要していた作業時間を大幅に削減できます。また、リアルタイムでの売上分析が可能となり、戦略的な意思決定を迅速に行えるでしょう。
まとめ
エクセルを活用すれば、販売管理を手軽に始められて費用は最小限で済むものの、複雑な機能の実装には高度な知識が必要です。データ量の増加に伴い処理の効率も落ちるため、長期間の運用には向きません。販売管理の効率化を重視するなら、専用の販売管理システムの導入を検討するとよいでしょう。
「glan system」の販売管理システムは、受注・在庫・売上管理を一元化し、リアルタイムでのデータ共有や作業の自動化を実現します。初期費用無料で導入可能で、必要に応じて自社仕様にカスタマイズでき、オリジナル機能を追加することも可能です。クラウドシステムのため取引先や業務委託先とも連携しやすいメリットがあります。
販売管理の業務負担を軽減したい場合は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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