在庫管理は、企業の業務を円滑に進める上で欠かせない業務です。
しかし、紙の管理表や手作業だけでは在庫数の把握ミスや管理の手間が増えやすく、効率的な運用が難しいケースが少なくありません。
エクセルを活用すれば、在庫管理表を簡単に作成でき、正確な在庫状況をリアルタイムで把握することが可能です。
そこで今回は、エクセルで在庫管理表を作成する方法や、メリット・デメリットを解説します。業務をより効率化する在庫管理のポイントを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次
  1. 「在庫管理表」とは?
  2. エクセルを使った在庫管理表の作成方法|2つのタイプに分けて紹介!
  3. 2-1.単票タイプ
    2-2.在庫移動表タイプ

  4. エクセル在庫管理表の効率を高める関数一覧
  5. 在庫管理表をエクセルで作成するメリット
  6. 4-1.追加コストが発生しないケースが多い
    4-2.操作に慣れている人が多く始めやすい

  7. 在庫管理表をエクセルで作成するデメリット
  8. 5-1.複数担当者による同時操作が不可能
    5-2.データ量が膨大になると処理速度が遅くなる
    5-3.属人化が生じやすくなる

  9. 在庫管理の効率をより高めたい場合は?

 まとめ

  1. 「在庫管理表」とは?
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    在庫管理表とは、商品の在庫情報や数量を管理し、入荷から出荷までの流れを正確に把握するための表です。受注後の在庫状況を可視化することで、在庫切れや過剰在庫を防ぎ、効率的な在庫運用を実現します。さらに、入荷・移動・出荷・使用期限などの重要な情報も一目で確認できるため、管理の精度も向上します。

    エクセルを活用すれば、在庫管理表を簡単に作成可能です。関数を使えば、在庫数を自動で集計し、在庫管理を効率化することも容易です。

  3. エクセルを使った在庫管理表の作成方法|2つのタイプに分けて紹介!
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    エクセルを使った在庫管理表は、「単票タイプ」と「在庫移動表タイプ」の2つに分けられます。単票タイプは1つの商品を個別に管理する形式で、在庫移動表タイプは複数の商品を一覧で管理できる形式です。

    ここからは、各タイプの特徴と作成方法を解説します。

    2-1. 単票タイプ

    単票タイプは、1つの商品ごとに在庫を管理する形式で、「吊り下げ票タイプ」とも呼ばれます。紙の在庫管理表を、ほぼそのままエクセルに置き換えたものです。商品ごとに専用の管理表を作成し、入出庫情報や在庫残高を記録します。

    単票タイプの作成手順は、下記の通りです。

     (1)  エクセルを起動し、A1セルからA列に「品番」「商品名」「日時」「繰越残高」を入力する
    (2) A5セルに日付を入力する
    (3) A5セル右下の「■」にマウスポインタを置き、「+」に変化したら左クリックで下方向にドラッグして連続した日付を自動入力する
    (4) B1セルに品番、B2セルに商品名を入力する
    (5) B3~F3セルに「入庫」「出庫」「残高」「担当者」「備考」を入力する
    (6) D4セルに先月末の在庫数を入力する
    (7) D5セルに「=D4+B4-C4」(繰越残高+入庫-出庫)と入力する
    (8) D5セルから下にドラッグして関数をコピーする
    (9) 入出庫に応じて数値を入力する

    単票タイプは作成が簡単で、エクセル初心者でも扱いやすいのがメリットです。ただし、商品ごとに別のシートを用意する必要があり、取り扱い商品が多い場合は管理が煩雑になるデメリットもあります。エクセル初心者の方は、ネット上に多数公開されている無料テンプレートを活用するとよいでしょう。

    2-2. 在庫移動表タイプ

    在庫移動表タイプは、複数の商品を一元管理する形式で、在庫全体の状況を俯瞰できるのが特徴です。縦軸に品番や商品名を、横軸に日付を配置し、各商品の入出庫や残高を管理します。

    下記は、在庫移動表タイプの作成手順です。

     (1)  A1~E1セルに「品番」「商品名」「繰越残高」「在庫数」「出入庫合計」を入力する
    (2) F1セルは空白のまま、G1セルに日付を入力する
    (3) G1セル右下の「■」にマウスポインタを置き、「+」に変化したら左クリックで右方向にドラッグして連続した日付を自動入力する
    (4) F2セルに「入庫」、F3に「出庫」を入力する
    (5) A2~D2セルを、それぞれ1つ下のセルと結合する
    (6) C2セルに先月末の在庫数を入力する
    (7) E2セルに「=SUM(G2:L2)」を入力し、下にドラッグして関数をコピーする
    (8) D2セルに「=C2+SUM(G2:XFD2)-SUM(G3:XFD3)」(繰越残高+入庫-出庫)と入力する
    (9) 入出庫に応じて数値を入力する

    在庫移動表タイプは複数の商品の在庫状況を一目で把握できるのが利点です。ただし、備考欄や担当者欄がなく、詳細な情報管理には適していません。取り扱う商品数が多いと、エクセルの動作が重くなる場合もあります。

  5. エクセル在庫管理表の効率を高める関数一覧
  6. エクセル在庫管理表の作成では、関数を活用することで作業効率が大幅に向上します。特に在庫数の自動計算や特定条件に基づくデータ抽出など、手作業では時間がかかる処理に便利です。

    VLOOKUP関数 検索条件に基づき、指定範囲から該当するデータを抽出する関数です。たとえば、商品コードを基準に商品名や在庫数を自動表示することが可能です。これにより入力ミスを防ぎ、在庫情報を正確に管理できます。
    SUMIF関数・SUMIFS関数 特定の条件に合致する数値だけを合計する関数です。SUMIFは1つの条件、SUMIFSは複数条件に対応します。特定商品の入庫数や出庫数を集計する際に役立ちます。
    IF関数 設定した条件に基づいて、異なる結果を返す関数です。在庫数に応じて「在庫不足」や「適正在庫」などと表示すると、現状を把握しやすくなります。
    PRODUCT関数 複数の数値を掛け合わせる関数です。単価×数量×割引率など、複数の掛け算を一度に行いたい場合に便利です。ただし、加減算を含む計算には使用できません。
    QUOTIENT関数 割り算の商の整数部分だけを表示する関数です。小数点以下を切り捨てるため、日割り計算や在庫数の割り当てなどで役立ちます。

    各関数を組み合わせると、エクセル在庫管理表をより正確かつ効率的に機能させることが可能です。また、無料のテンプレートにもこれらの関数が組み込まれていることが多く、初心者でも比較的容易に調整できます。

  7. 在庫管理表をエクセルで作成するメリット
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    エクセルを活用した在庫管理には、いくつかのメリットがあります。代表的なのが、追加コストがかからず、スムーズに導入できる点です。

    ここからは、在庫管理表をエクセルで作成するメリットを解説します。

    4-1. 追加コストが発生しないケースが多い

    エクセルで在庫管理表を作成する最大のメリットは、追加コストがかからない点です。多くの企業ではすでにMicrosoft Officeが導入されており、新たなソフトウェアを購入する必要がありません。

    在庫管理システムを導入すると初期費用や月額料金が発生しますが、エクセルならそのような経費を気にせずに運用を開始できます。特に小規模事業者や在庫管理に大きな予算を割けない企業にとって、コスト面での負担が少ないのは大きな利点です。

    4-2. 操作に慣れている人が多く始めやすい

    エクセルは多くの企業で日常的に使用されており、従業員の多くが基本的な操作に慣れています。そのため、新しいシステムを導入する際に発生する、研修や操作習得の手間が不要です。既存の業務環境に即した形で在庫管理をスタートできるため、現場への定着も早いでしょう。

    さらに、エクセルは無料の在庫管理テンプレートが豊富にあり、ダウンロードしてすぐに使用可能です。初心者でもテンプレートを活用すれば、複雑な設定を行うことなく簡単に在庫管理を始められます。この手軽さも、エクセルで在庫管理表を作成する大きなメリットです。

  9. 在庫管理表をエクセルで作成するデメリット
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    在庫管理表をエクセルで作成することには多くのメリットがありますが、注意すべきデメリットも存在します。

    特に複数人で管理する場合やデータ量が増加した場合には、効率低下や運用上の課題が発生しやすくなるため、導入前に慎重な検討が必要です。

    ここからは、在庫管理表をエクセルで作成することの主なデメリットを3つ解説します。

    5-1. 複数担当者による同時操作が不可能

    エクセルでは、1つのファイルを複数人が同時に編集することができません。共有設定を使えるバージョンなら、ファイルへの同時アクセスは可能です。しかし、セルの結合やピボットテーブルなど一部機能に制限がかかる上、複数の担当者が同時に更新しようとすると、保存の競合が発生しやすくなります。

    このため、常に最新の在庫状況を反映させることが難しく、結果として入力ミスやデータの不整合を引き起こししかねません。特に、拠点や担当者が増えるとタイムラグが発生しやすく、在庫不足や過剰在庫といった管理上の問題が発生することもあります。

    5-2. データ量が膨大になると処理速度が遅くなる

    エクセルは表計算に特化したソフトであり、データベース管理を目的としたツールではありません。そのため、商品数が増えたり、入出庫の履歴が長期間にわたって蓄積されたりするとファイルサイズが肥大化し、開くまでに時間がかかるようになります。計算式やマクロを多用している場合は動作がさらに遅くなり、作業効率が低下するでしょう。

    また、大量のデータを一括で更新しようとして入力中にフリーズしたり、操作が反映されるまで時間がかかったりするケースも少なくありません。最悪の場合、保存中にエクセルがクラッシュし、データが破損するリスクもあるため注意が必要です。

    5-3. 属人化が生じやすくなる

    エクセルでの在庫管理は、作成者や管理担当者に依存しやすい点もデメリットに挙げられます。簡単な入力作業は誰でも可能ですが、関数の設定や修正、トラブル対応には一定のスキルが必要です。そのため、管理が特定の担当者に依存し、ほかの担当者が操作できない「属人化」が発生しやすくなります。

    反対に、多くの従業員に入力作業を任せた結果、知識の乏しい従業員が誤操作を行い、表が崩れるケースも珍しくありません。こうした場合、管理表の作成者が修正や復旧に追われたり、優秀な従業員がコア業務に集中できなくなったりするリスクもあります。

    担当者が不在の際に業務が滞るだけでなく、異動・退職した際にノウハウが引き継がれず、在庫管理が混乱する可能性があるため、運用ルールの整備が不可欠です。

  11. 在庫管理の効率をより高めたい場合は?
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    エクセルでの在庫管理表作成は、比較的小規模な企業やエクセル操作に慣れた従業員が多い環境では効果的です。しかし、商品数が多い場合や複数人で作業する場合は、エクセルよりも専門の在庫管理システムを導入したほうが、業務効率は向上するでしょう。

    まとめ

    エクセルで作る在庫管理表は、導入コストを抑えつつ、基本的な在庫管理を効率的に行える方法です。単票タイプと在庫移動表タイプの2種類があり、関数を活用すれば正確な在庫把握も可能です。ただし、データ量の増加による処理速度低下や、属人化のリスクが課題となります。

    より効率的な在庫管理を目指す場合は、専門システムの導入がおすすめです。
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