受発注管理を効率化したいと考えたとき、多くの企業がまず検討するのがエクセルの活用です。
エクセルは手軽に始められ、コストを抑えつつ業務を管理できるメリットがあります。
しかし、同時編集の難しさやデータの増加による処理速度の低下など、運用面での課題も少なくありません。
今回は、エクセルで受発注管理を行う方法や、そのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
自社に最適な受発注管理の方法を導入したい方は、ぜひ参考にしてください。

目次
  1. そもそも「受発注管理」とは?
  2. 1-1.受発注管理表はエクセルで作成可能!

  3. 【3STEP】エクセルを用いた受発注管理表の作成方法
  4. 2-1.STEP1:必要項目の設定
    2-2.STEP2:数式の設定
    2-3.STEP3:運用ルールの策定

  5. エクセルで受発注管理を行うメリット3つ
  6. 3-1.エクセル導入済みの場合は追加コストがかからない
    3-2.マクロ機能やVBAで業務効率のさらなる向上が見込める
    3-3.外部システムとの連携がしやすい

  7. エクセルで受発注管理を行うデメリット5つ
  8. 4-1.複数人での同時編集・リアルタイム共有が難しい
    4-2.データ量が増加すると処理速度が低下する
    4-3.バージョンアップによる互換性の問題が生じやすい
    4-4.手入力によるヒューマンエラーが起こりやすい
    4-5.高度なカスタマイズを行った場合は属人化が起こりやすい

  9. さらなる業務効率化には専用の受発注管理システムがおすすめ!

 まとめ

  1. そもそも「受発注管理」とは?
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    受発注管理とは、企業が商品や原材料の仕入れと販売に関わる一連の流れを、適切に管理する業務です。発注管理では、在庫状況の確認から商品の注文・納品・入庫までのフローを管理します。一方、受注管理は、顧客からの注文受付・在庫確認・納期調整・出荷までを担う業務です。

    いずれの業務も、適切に管理しなければ納期遅延や受注漏れ、過剰在庫といったトラブルが発生しかねません。取引ミスを防ぎ、顧客満足度を向上させるためにも、適切な管理が必要です。

    1-1. 受発注管理表はエクセルで作成可能!

    エクセルを活用すれば、受発注管理表は簡単に作成可能です。作成方法には「1から自作する方法」と「無料テンプレートを活用する方法」の2つがあります。

    1から自作する場合は、商品名や数量、納期などの項目を設定し、関数やマクロを用いて自動計算やエラー防止の仕組みを取り入れます。自社独自の業務に最適化できる点が大きなメリットです。ただし、エクセルに関する一定の知識とスキルが求められます。

    無料テンプレートを利用する方法なら、ダウンロード後に自社の業務に合わせた項目を調整するだけで管理表を用意できます。ただし、テンプレートの初期設定だけでは自社に完全にフィットしない場合が多いため、細部のカスタマイズは必須です。

  3. 【3STEP】エクセルを用いた受発注管理表の作成方法
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    エクセルを用いた受発注管理表は、3つのステップで簡単に作成可能です。必要な項目を設定し、数式を組み込んだ上で運用ルールを定めれば、実務で活用できるでしょう。

    ここからは、それぞれの手順を解説します。

    2-1. STEP1:必要項目の設定

    最初に、受発注管理表に記載する必要項目を設定します。一般的によく使用される項目は、以下の通りです。

    受注情報 注日・会社名・連絡先・担当者名 など
    商品情報 商品名・商品コード・数量・単価 など
    発注・納品情報 注文日・納期・配送方法・進捗状況 など

    管理すべき情報に漏れがないよう、自社の業務フローに応じて項目をカスタマイズし、表のタイトル行に入力しましょう。

    各項目の入力ミスを防ぐために、プルダウンリストを設定すると便利です。たとえば、発注先や商品コードは事前に登録したリストから選択できるようにすれば、入力の手間が減るだけでなく、誤入力のリスクも抑えられます。

    さらに、品番を入力すると商品名が自動入力されるようにしたり、数量と単価を基に金額を自動計算する数式を設定したりすると、作業効率が大幅に向上します。自社の運用に最適な項目と入力方法を整えることが、正確で使いやすい管理表を作成する第一歩です。

    2-2. STEP2:数式の設定

    受発注管理表をより効率的に運用するには、関数やピボットテーブル、グラフ機能の活用が重要です。

    関数を利用すれば、データの自動計算や検索が可能になり、手作業の負担を減らせます。

    たとえば、SUMIF関数は条件に合致する数値の合計を算出し、特定の商品ごとの売上を集計する際に便利です。VLOOKUP関数を使えば、商品コードを入力するだけで商品名や単価を自動表示できます。IF関数を活用すると、在庫不足の場合にアラートを表示させることも可能です。

    ピボットテーブルは、大量のデータを簡単に集計・分析できる機能です。受注金額や数量を日別・月別に分類し、傾向を把握するのに役立ちます。また、取引先ごとの発注量を集計すれば、需要の高い商品を特定できます。

    さらに、グラフ機能を活用すれば、データを視覚的に理解しやすくなります。たとえば、月別の受注額を折れ線グラフで表示すると、売上の推移が一目で把握できるでしょう。棒グラフを使うと、各商品の売上比較が容易になります。

    このように、数式や機能を適切に設定することで、受発注管理表の操作性と正確性が大幅に向上します。

    2-3. STEP3:運用ルールの策定

    作成した受発注管理表のスムーズな運用には、明確なルールの策定が欠かせません。まず、データ入力の担当者とタイミングを決める必要があります。

    たとえば、「受注情報は営業担当が受注当日に入力し、発注情報は購買担当が発注完了後に記録する」といった形で役割を明確にしておけば、入力漏れや記載ミスを防げます。

    次に、データの更新履歴を管理する仕組みを整えることも重要です。エクセルの「変更履歴の記録」機能を使用すると、誰がいつデータを修正したかが分かるため、誤入力や上書きミスが発生した場合でも迅速に修正できます。また、データの入力規則を設定して、誤った形式の情報が入力されないよう制限をかけることも有効です。

    さらに、定期的なデータの確認とバックアップを行うルールも必要です。月末や四半期ごとにデータをチェックし、最新のファイルを保存することで、万が一のトラブルにも迅速に対応できます。

  5. エクセルで受発注管理を行うメリット3つ
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    エクセルを使用しての受発注管理には、コストや利便性、業務効率化の観点から3つの大きなメリットがあります。それぞれの利点を詳しく見ていきましょう。

    3-1. エクセル導入済みの場合は追加コストがかからない

    エクセルは多くの企業で標準的に導入されており、新たなシステムを購入する必要がありません。社内のパソコンにインストールされていれば、すぐに受発注管理を始められるため、コストを抑えられます。

    また、エクセルは多くの人が使用経験をもつツールであるため、基本操作に関する研修を行う必要もなく、導入のハードルが低い点も魅力です。

    3-2. マクロ機能やVBAで業務効率のさらなる向上が見込める

    エクセルには、繰り返しの作業を自動化できるマクロ機能やVBA(Visual Basic for Applications)があります。これにより、発注書や納品書の自動作成・データ集計・入力チェックなどを効率的に行えます。

    手動での作業を減らせるため、入力ミスを防ぎつつ、業務の正確性とスピードを向上させることが可能です。

    3-3. 外部システムとの連携がしやすい

    エクセルは、CSVやXLSX形式でデータをやり取りできるため、外部システムとの連携が容易です。たとえば、販売管理システムや顧客管理システム(CRM)、在庫管理ツールなどとデータを連携すれば、受発注情報を一元管理できます。

    また、エクセルは世界的に見てもスタンダードなツールのため、初めから連携することを考慮して設計されているシステムも少なくありません。これにより、業務の流れがスムーズになり、業務全体の効率化が図れます。

  7. エクセルで受発注管理を行うデメリット5つ
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    エクセルは受発注管理に活用できる便利なツールですが、実用するには多くの課題も存在します。特に、共有や処理速度、データ管理の面で問題が生じやすいため、導入時には注意が必要です。

    そこで次に、エクセルを用いた受発注管理の5つのデメリットを詳しく解説します。

    4-1. 複数人での同時編集・リアルタイム共有が難しい

    Microsoft 365 サブスクリプション以外のエクセルは、基本的に1人での編集が前提のツールであり、複数人による同時編集はできません。

    ファイルを共有フォルダやクラウド上に保存すれば複数人でアクセスできるものの、リアルタイムでの反映はできず、更新のタイムラグが発生します。

    また、ファイルをメールで送受信する運用では、最新データの管理が煩雑になり、誤情報と気づかないまま業務を進めてしまうリスクもあります。

    4-2. データ量が増加すると処理速度が低下する

    エクセルファイルはデータ量が増えると、開くまでの時間が長くなったり、動作が遅くなったりするのもデメリットです。特に、大量の受発注データを扱う場合、フィルターや関数の計算が重くなり、ファイルがフリーズする可能性もあります。

    データ処理の負担を減らすために新しいファイルを作成すると、過去のデータとの整合性が取れなくなる問題も生じるため、運用には工夫が必要です。

    4-3. バージョンアップによる互換性の問題が生じやすい

    エクセルは定期的に新しいバージョンがリリースされますが、異なるバージョン間では互換性の問題が発生する場合があります。たとえば、最新のエクセルで作成したファイルを古いバージョンで開くと、一部の関数やマクロが正常に動作しないケースがあります。

    また、ファイル形式の変更によってデータのレイアウトが崩れることもあり、社内で統一されたバージョンを使用しないとトラブルの原因になりかねません。

    4-4. 手入力によるヒューマンエラーが起こりやすい

    エクセルでの受発注管理では、多くの情報を手作業で入力する必要があります。そのため、数字の入力ミスやコピー&ペーストの誤りなど、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。

    特に、発注数や単価の入力ミスは、企業の損失につながる重大な問題を引き起こしかねません。関数や入力規則を活用することでミスを減らせますが、完全に防ぐのは難しく、ダブルチェックの手間がかかる点も課題です。

    4-5. 高度なカスタマイズを行った場合は属人化が起こりやすい

    エクセルには、マクロやVBAを活用した高度なカスタマイズ機能がありますが、正しく設定・運用するにはある程度の知識が必要です。そのため、複雑にカスタマイズされたエクセルファイルは、特定の社員がいなければ運用できなくなる「属人化」のリスクが高まります。

    また、作成者が退職した場合、管理方法が分からなくなり、業務の継続に支障をきたす可能性もあります。組織全体で管理方法を共有する仕組みを整えないと、長期的な運用に課題が生じるでしょう。

  9. さらなる業務効率化には専用の受発注管理システムがおすすめ!
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    エクセルを用いた受発注管理表にはメリットとデメリットの両面があり、特に取引先の多い企業の場合はデメリットが顕在化するケースが少なくありません。こうした課題を解決し、業務を効率化するには、専用の受発注管理システムの導入がおすすめです。

    まとめ

    エクセルを活用した受発注管理は、低コストで導入できる点や、カスタマイズの自由度が高い点がメリットです。しかし、同時編集が難しいことや、データ量が増えると処理速度が低下することなど、多くのデメリットも存在します。

    「glan system」は、受発注管理機能を搭載し、販売管理・在庫管理などの業務を一元化し、クラウド上でリアルタイムにデータを共有できるシステムです。初期費用無料で導入可能で、企業ごとの業務に合わせたカスタマイズ、オリジナル機能の作成も可能です。業務の効率化を検討しているのであれば、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
    詳細はglan system 公式ウェブサイトを確認ください。
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